お金を稼いだら貯金をする。大きなお金は銀行にいれておけば安心だ。
そう考えている人は多いのではないでしょうか。ですが、お金の価値は変化するものです。
確かに銀行預金に1000万円入れておけば10年後も1000万円という金額は残っているでしょう。
ですが、現在の感覚でいう1000万円の価値が残っているかは別の話です。もしかしたら1円の価値しかないかもしれません。
そんなことありえない?・・・いえいえ、実は実際に起こった話なのです。
今回はお金の価値がどんどんなくなっていくハイパーインフレの恐怖について解説します。
関連記事
『「貯金だけ」は危ない!老後のために日本人がすべき資産運用とは!』
『1000万円の貯金は絶対に資産運用すべき5つの理由とおすすめの投資先』
インフレってどんなもの?
モノの価値が上がってお金の価値は下がる
まずはインフレとは何なのかというところから見ていきましょう。
インフレとはお金の価値が下がり、モノの価値が上がることです。
(出典:インカムラボ)
この例でいくと、今は100円を出せば買えていたリンゴが200円出さないと買えなくなっています。
お金の価値は半分になっていますね。
現在あなたの貯金が1000万円あるとしても、将来は500万円の価値しかなくなってしまっている、これがインフレです。
ハイパーインフレとは
お金の価値がどんどん下がってしまうインフレですが、特に激しいものをハイパーインフレと呼びます。
細かく言うと毎月のインフレ率が50%を超えるものがハイパーインフレとされています。
毎月50%のインフレが続くと1年後には物価が130倍になってしまいます。
すなわち、ハイパーインフレが発生するとあなたの1000万円は1年後には約7万円の価値しかなくなってしまうのです。
何とも恐ろしい話しですね。ハイパーインフレが発生するということは実質破産してしまうということなのです。
ハイパーインフレの恐怖
最近も発生しているハイパーインフレ
そうはいってもハイパーインフレなんてはるか昔の話で現代では起こりえないんじゃないか、そう考えている人もいるかもしれません。
ですが、現代でもハイパーインフレは発生します。
ハイパーインフレの実例を見ていきましょう。
1兆円が1円に!ドイツのハイパーインフレ
ドイツでは第一次世界大戦の敗戦後にハイパーインフレが発生しました。
1918年から1923年までの5年間で物価が1兆倍に上昇したと言われています。
パン1つを買うのに必要お金はなんと100兆マルクです。100マルクだったパンを買うのに1兆倍のお金が必要になってしまった訳です。
もしこの時代に1兆マルクの銀行預金があった人は、一生遊んでも使い切れないほどのお金を持っていたはずがパン1個しか買えない預金になってしまったのです。
絶望以外の何物でもないですね。これがハイパーインフレによる実質的な破産です。
こちらは札束で遊ぶ子どもの写真です。このようにハイパーインフレによってお金は実質無価値なものになってしまったのです。
その辺に捨てられていたり、暖炉の薪代わりに使われたりもしていました。
2019年に発生したベネズエラのハイパーインフレ
2019年に入ってからもハイパーインフレは発生しています。
ベネズエラでは2019年1月のわずか1か月間でインフレ率は268万%に上ったと言われています。さらに、IMFによると今年1年のインフレ率は1000万%と見込まれています。
つまり、物価が10万倍になる訳です。100円のリンゴは1000万円になる訳です。あなたの貯金が1000万円だったとしても1年後には100円の価値しかありません。
コーヒー1杯すら飲めなくなっているでしょう。
これは、はるか大昔の話ではなく、1900年代初頭の話でもなく2019年の話です。
ハイパーインフレは現代でも発生する恐怖なのです。
日本におけるインフレとは
日本でも過去にあったインフレ
日本でも過去に大きなインフレは発生しています。
戦争費用の調達のための大量の国債発行が原因だったと言われています。
太平洋戦争開戦当時と比べると1955年のインフレ収束時には180倍まで物価は上昇しました。
1000万円の貯金は約5万円の価値になってしまいます。
悲しいとかそういうレベルではないですね。インフレが起こったら実質破産なのです。
日本政府はインフレを起こそうとしている
これだけ怖いインフレですが、日本政府はインフレを起こそうとしています。
成功しているかは置いておいて、日本政府は毎年2%の物価上昇を目標に掲げています。
さらに、日本が大量の借金を抱えていることは皆さんご存じの通りですが、借金の返済方法には4種類あります。
- 税収アップ
- 歳出の削減
- インフレを起こす
- 預金封鎖
①②のように税収を増やすもしくは歳出を減らすかして、国の余剰資金を増やし借金を返していくのがまっとうな方法ですよね。
ただ裏技として③があります。インフレを起こすとお金の価値が下がる訳ですから、借金の負担も減ります。
ドイツのようにハイパーインフレが発生すれば、100兆円の借金があっても100円になる訳ですから一瞬で返済できます。
まさに裏技ですが、インフレには借金軽減の効果もあります。
④は本当の最終兵器ですね。強制的に国民の預金を差し置さえて借金を返済するのです。ウソのような話ですが戦後の日本では本当に預金封鎖が発生しました。
ハイパーインフレも恐ろしいですが預金封鎖も恐ろしいです。預金は意外と安全ではないのです。
ハイパーインフレから資産を守るには
ハイパーインフレによる破産を回避する
それでは、ハイパーインフレ起きたら身を守ることはできず実質破産するしかないのでしょうか。
いいえ。ハイパーインフレが起きても身を守る方法はあります。
それどころか、ハイパーインフレを利用してお金持ちになった人もいます。ハイパーインフレから身を守りさらに富を築く方法を解説します。
株式投資で大儲けする
ハイパーインフレで一番ダメな方法は現金のまま持っておくことです。
早急に現金以外の資産にうつせばダメージを回避することができます。
そして特におすすめなのが株式投資です。物価上昇に合わせて株価も上昇していくので、株式を保有していれば大儲けすることができます。
ただし、注意点が一つあります。株価の上昇は、物価の上昇に遅れてやってくるという点です。
ドイツのハイパーインフレの時も日々の生活費のために株式を売却して手放してしまう人が多くいました。
そのため値上がりするどころか当初は値下がりする始末でした。ですが、ここで売却を我慢した人や勇気を出して株式を購入した人は大儲けすることができました。
例えば自動車会社のダイムラー社です。ハイパーインフレだろうと他の国ではドイツ製の自動車は変わらず人気があります。
徐々に株式は上昇していき、最終的にはインフレの影響を超える非常に大きな上昇を見せたのです。
強気でダイムラー株を保有し続けた人は莫大な資産を築く結果となりました。
インフレから資産を守るには現金で保有していてはいけません。株式で保有するのがベストな選択です。
まとめ
今の常識で考えると、貯金が「価格の変わらない安全な資産」で、株式が「価格の変わる不安定な資産」かもしれません。
ですが、ひとたびインフレがおこれば、貯金が「価格の変わらない危険な資産」で、株式が「物価上昇に合わせて価格が上昇していく安全な資産」になるのです。
デフレが続いていた日本ではピンとこないかもしれませんが、インフレは日本政府が目指している方針でありこれから間違いなくやってきます。
今までの常識にとらわれず、早めに株式投資を実践した人が自分の資産を守ることができるでしょう。
関連記事
『次にくるIT関連銘柄はどれだ!?上がる株式を見極めよう!』