株も人気ですが、原油や金などのコモディティも人気を集めています。
特に原油価格は世界情勢や需給などの関係で価格が大きく上下することもありよく話題となっています。
「原油が過去最高に安くなっている・・・原油を買えば儲かるのでは!?」
「原油価格が急上昇しているからこの波に乗れば儲かるのでは?」
そう思って原油に手を出そうとしているそこのアナタ!ちょっと待ってください。原油ETFは買ってはいけません!必ず損をしてしまいます!
実際、私の周りでも原油に手を出して損している人がたくさんいます。今回は絶対に損する理由を解説していきます!
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そもそも原油って投資できるの?
ETFを利用した原油への投資
まずは原油への投資がどんなものなのかから見ていきましょう。当然ですが、実際の原油を買ったり売ったりすることは我々にはできません。
その代わり、世の中には原油ETFというものがあります。「ETF」は聞いたことがありますでしょうか?アルファベットが出てくると一気に難しく感じてしまいますが、簡単にいえば投資信託だと思って下さい。
原油の投資信託があるので、他の一般的な投資信託とやる事は一緒です。
我々はインターネットで簡単に原油への投資ができてしまうのです!
日本でも簡単に買える原油ETF
それでは、具体的にはどんな商品があるのでしょうか。有名なのは2つです。
- (1699)NEXT FUNDS NOMURA 原油インデックス連動型上場投信
- (1671)WTI原油価格連動型上場投信
これらは原油価格に連動するように運用を行うETFです。原油価格の指標はWTIと呼ばれているものが標準で、アメリカのニューメキシコ州とテキサス州を中心に生産される原油価格を示しています。
この原油価格の推移に連動する商品が簡単に日本でも買えるので、原油への投資が成り立っているのです。
2020年に大暴落した原油価格
原油がたびたび注目を集めている理由は価格の上下が激しいからです。
例えば、2020年には原油価格がこれまでにないほどに暴落しました。
こちらのWTI原油価格の推移を見て下さい。
(出典:楽天証券)
2011年には120ドルに迫っていた原油価格が、2020年には10ドル台まで下落し、一時は0を下回りマイナスを記録したのです。
ハッキリ言ってとんでもない大暴落ですね。
このタイミングでは原油を買いたくなった人も大勢いたでしょう。ですが買ってはいけません。
価格が安いのになぜダメなのでしょうか?
原油ETFは絶対に負ける!その理由とは
要注意の先物取引
原油の投資は、「現物取引」ではなく「先物取引」で行われています。
先物取引とは今の価格ではなく、将来の価格を決める取引になりそれぞれ取引ができる期間が決められています。
例えば今が5月であれば、5月31日が取引の原油価格、6月30日が取引期限の原油価格、7月31日が取引期限の原油価格と何種類もあるのです。
それぞれ「5月限月」、「6月限月」、「7月限月」という呼び方をします。
ロールオーバーの落とし穴
そして、先物取引で注意したいのがロールオーバーです。何種類もの原油価格があるといいましたが、基本的に期間が長い原油価格の方が高くなっています。
「5月限月」の原油価格より「6月限月」の原油価格の方が高いのです。では、今が5月として5月31日が迫ってきたらどうすれば良いのでしょうか?
今もっている「5月限月」の原油を売って、値段が高い「6月限月」の原油を買い直さなければいけないのです。
つまり、期限がきてロールオーバーするたびに、かなりのコストが毎回発生してしまうのです。
先物取引は取引できる期間が決まっています!普通の商品のようにただ長期保有し続けることはできません!
長期保有をすると高いコストを払い続けなければいけないのです。
まやかしの値上がり
この安い原油を売って高い原油に買い替えるという行為によって「まやかしの値上がり」が発生します。
よく分からないと思うのでこのグラフを見て下さい。
(出典:原油投資情報サイト)
WTI原油の青いグラフを見ると35%ほど上昇しているように見えますが、実際は赤いグラフの10%ほどしか上昇していません。
WTI原油価格を見て儲かると思っている人は、「まやかしの値上がり」を見ているのです。
だからこそ、保有期間によっては
「表面上は40%も上昇していたのに実質マイナスだった。」
という驚きの事態もありえるのです!
長期保有のデメリットとは!?
原油価格は確かに安いタイミングもあります。ですが先物取引ですので、限月があり1カ月たつごとにロールオーバーが発生します。
限月ごとの価格差というのも、原油価格が低迷している時は大きくなり、ロールオーバーのコストも大きくなります。
簡単に言うと、原油先物取引は長期保有するとロールオーバーのコストが高すぎて必ずといっていいほど負けます!
そのため、「今安いから買っておけばいつか上がるだろう」という投資は出来ないのです。
原油価格の見通しとは
2020年には大暴落した原油価格ですが、その後どうなっていったでしょうか?
(出典:楽天証券)
2020年から上昇に転じ、さらには2022年の世界情勢不安なども経て一時120ドルを超える高値まで上昇しました。
2020年の暴落に関して言えば、もし大暴落後に購入することができていればロールオーバーのコストを鑑みても利益を得られたかもしれません。
ですが、これは結果論でありやはりコストが高い長期保有はすべきでないと思います。
どうしても原油ETFに投資したいのであれば、ロールオーバーが発生しない短期の取引でやるべきでしょう。
ですが、短期の原油価格の推移は誰にもわからないので本当にギャンブルになってしまいますね。
まとめ
それでは、原油ETFについてまとめてみましょう!
●原油価格は価格が大きく上下に動く
●ただし先物取引のためロールオーバーがある
●ロールオーバーのたびに高いコストがかかるため実質長期保有は出来ない
●そのため、過去と比べて現在価格が安くても投資する根拠にならない
●どうしても投資するならロールオーバーしなくていい短期投資のみ
原油は生産国が限られていますが、需要は全世界にあります。そのため、原油価格は大きく上下しますし、とくに世界情勢が緊張していると値動きも激しいです。
原油への投資が気になるタイミングがあると思いますがハッキリ言っておすすめしないです。
個人的には株とヘッジファンドがおすすめです。とくにヘッジファンドは運用にあんまり興味がなくても利用できますので万人におすすめです。
資産運用先を探しているなら、おすすめファンドを下記ランキングにて紹介していますのでぜひ一度確認してみて下さい。