ヘッジファンドとはいったいどんなものでしょうか。詳しくは分からないという人も多いかもしれません。
欧米ではヘッジファンドは一般的ですが、日本ではまだまだ知られていないですね。
ですが、日本でも活躍しているアクティビスト型のヘッジファンドはあります。
どういった投資を行っているのか、その投資にはどんな意味があるのか。今回は日本のアクティビスト型ヘッジファンドの実態について解説します。
アクティビスト型のヘッジファンドとは
そもそもヘッジファンドって何?
ヘッジファンドとは金融機関や個人投資家から資金を預かり、代わりに資産運用するプロフェッショナル集団です。
その投資手法や運用理念は多岐にわたります。
- グローバルマクロ
- マーケットニュートラル
- イベントドリブン
- アクティビスト
などなどです。では、アクティビストとはどのようなものなのか見ていきましょう。
アクティビストは「モノ言う株主」
アクティビストとは簡単に言うと「モノ言う株主」のことです。
株式を一定数保有した企業に対して、提言を積極的に行っていきます。
企業の経営者は自分たちの目線で好きに経営をしてしまうものなので、そこに株主の目線から提言を加えることで企業価値を向上させていくのです。
つまり、モノ言う株主は経営陣と一緒になって企業価値の向上に尽力するのです。
モノ言う株主については別記事でも解説していますので良ければそちらも合わせてご覧ください。
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『ヘッジファンドとは?圧倒的な5つの強みと日本でも必ず流行る3つの理由』
それでは、具体的な日本のアクティビスト型ヘッジファンドについて見てみましょう。
今回はストラテジックキャピタルについて解説します。
ストラテジックキャピタルの投資内容とは
投資戦略
(出典:ストラテジックキャピタルHP)
ストラテジックキャピタルは王道のアクティビスト投資を行っています。
どのような投資戦略をとっているのでしょうか。気になる運用方針はこちらです。
- 日本の上場企業に投資する
- 自分たちの試算した企業価値よりも株価が安くなっている企業に集中的に投資する
- 株価が割安になっている要因の改善に努める
- 企業価値を高める企業が本来持っている価値を顕在化させる
ちょっと難しいかもしれませんね。
簡単に言うと、まず本質的な価値は高いけれど、何かしらの要因で株価が低くなっている企業を探します。
そして、株式を大量に取得し経営陣に影響力を及ぼせるくらいの大株主になります。
そして、株価が下がっている要因について提言を行い、本来その企業が持っている価値をみんなに正当に評価してもらえるようにがんばるのです。
ダイヤモンドの原石を探すというよりは、少し汚れてしまったダイヤモンドを見つけてきて磨き上げるようなイメージですね。
代表者は村上ファンドの共同創業者
続いて、代表者はどのような方がつとめているのでしょうか。
代表取締役は丸木 強氏がつとめています。
(出典:ストラテジックキャピタルHP)
柔和な笑顔ですね。ですが、丸木氏はなんとあの村上ファンドの共同創業者です。
村上ファンドが解散したのち、2012年よりストラテジックキャピタルを設立しています。
一世を風靡した村上ファンドですが、そこで経験したアクティビスト投資を現在も引き続き行っているのです。
まさに日本のアクティビスト投資の第一線を経験してきたファンドマネージャーなのです。
気になる投資先とは
そうなると気になるのは投資先です。いったいどんな会社に投資しているのでしょうか。
- 世紀東急工業株式会社
- 株式会社淺沼組
- 極東貿易株式会社
- 蝶理株式会社
あまり有名ではない銘柄が並んでいますね。
アクティビスト投資をするには中小型株が適していますので、あまり名が知られていない会社が多くなるのです。
アクティビスト投資を行うには1社へ資金を多く投入することが重要です。そのため、やたらに銘柄を増やす分散投資ではなく、投資対象をしぼった集中投資となっています。
企業とコミュニケーションをとり株主提案もおこなう
投資先をしぼったあとは企業の経営陣と面会を行い積極的にコミュニケーションをとっています。
その時のリアクションは会社によって様々です。
面談でうまくいけば問題ないですが、それだけでは上手くいかないときもあります。そんな時は株主提案を行うのです。
株主提案は、会社側が嫌がったとしても、ほかの株主にきちんと支持され過半数を超えれば意見を通すことができます。
このようにアクティビスト投資では法的な株主の権利を行使していくこともできるのです。
アクティビスト投資の意味とは
日本では株主が自分たちの役割を果たしていない
株主が会社に意見するなんて恐れ多い!なんて思う人もいるかもしれません。
ですが、それは間違いです。本来の意味は逆です。
株主は経営者がちゃんと経営しているか確認する責務があるのです。
日本ではこれまでの慣習上、株主は経営者のやっていることに何も言わないのが普通となっています。しかし、これが日本経済の発展を妨げる問題となっているのです。
アクティビストとして株主提案することの意義
そこで活躍するのがアクティビスト型のヘッジファンドです。
彼らは一見、口うるさいようにも見えますがむしろ株主としての責任を果たしているのです。
経営者はわれわれが思っているより好き勝手に経営を行っています。
役員の給料を高くしたり、自分の好きなことにばっかり注力したりと、やりたい放題です。
オーナー会社であればそれでもかまいませんが、上場会社ではそうはいかないのです。
公正にビジネスを行って企業を成長させ、ひいては日本経済の発展に貢献していくことにアクティビスト型ヘッジファンドの価値があります。
社会への発信に意欲的
そのため、ストラテジックキャピタルでは世間への情報発信にも力を入れています。
(出典:ストラテジックキャピタルHP)
このように積極的にメディアの取材に答えているのです。
ストラテジックキャピタルにも、もちろん顧客がいます。そのためヘッジファンドとして顧客のリターン最大化を追求するのは当然のことです。
しかし、利益の追求に加えてアクティビストとしての活動を声高に発信することで、日本経済の発展にも尽力しているのです。
まとめ
今回は日本にもあるアクティビスト型のヘッジファンドについて見てきました。
ヘッジファンドというと、いわゆる「ハゲタカ」。お金だけ追求するイメージがあったのではないでしょうか?
アクティビスト型のヘッジファンドが顧客のためにリターンを追い求めるのは当然のことです。
しっかりと顧客に利益を返さなければ何も始まりません。
しかし、それに加えて「モノ言う株主」として積極的に活動することで日本経済に働きかけを行っているのです。
日本も近い将来、株主の役割がもっと一般にも広く認知されるでしょう。
そして、株主は株主としての役割を果たし、経営者は経営者としての役割を果たし、共によりよい企業活動を作っていけるといいですね。
ヘッジファンドについての解説は別記事でもしていますので良ければそちらも合わせてご覧ください。
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