株式投資をする上で一番怖いのは投資した企業が倒産してしまうことです。
会社が倒産してしまえば株式は紙切れになってしまい、投資したお金も0円の価値になってしまいます。
安全に投資するなら黒字の企業を選べば良いんじゃないの?・・・いえいえ!黒字でも倒産してしまう企業もあるのです!
今回はどうすれば倒産しない安全企業を見つけられるのかを解説していきます。
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会社が倒産するのってどんな時?
もっとも大切なのはキャッシュ
そもそも皆さんは会社がどうなると倒産してしまうかご存知でしょうか?
赤字が続いたら?社員が辞めてしまったら?
そうではありません。
実はキャッシュ(現金)がなくなった時に会社は倒産してしまうのです。
注意してほしいのは、「赤字=現金がなくなる」ではありません。黒字でも現金がなくなって倒産してしまうこともあるのです。
利益を見ているだけじゃわからない
なぜ黒字なのに倒産するということ(黒字倒産)がおこってしまうのでしょうか?
理由は、商品を販売した時期とお金が入ってくる時期のずれにあります。
個人レベルの話であれば商品の受け取りと支払いは同時であることが多いです。例えば、スーパーで買い物をしたら商品の購入と同時にお金を支払いますよね?スーパーにしてみれば商品の売上と同時に現金が入る訳です。
一方で、法人の場合だと売上と入金の時期がずれることが多いです。実際の入金は売り上げの1か月後であったり2か月後であったりするわけです。
そのため、黒字であっても気付いたら手元のお金はなくなっていて倒産してしまうということがありえるのです。
それでは、手元の現金を把握するには何を見ればいいのでしょうか?それを教えてくれるのがキャッシュフロー計算書なのです。
詳しく解説していきます。
キャッシュフロー計算書ってどんなもの?
3つのキャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書はその名の通り、お金の流れを把握するための計算書です。
3つの種類があり、「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」と呼ばれています。
営業活動では本業でどれだけの収入と支出があったのか、投資活動では設備投資でどれだけのお金の出入りがあったのか、財務活動では借り入れや株式発行などの資金調達がどれだけあったのかを示しています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
営業活動によるキャッシュフロー
(出典:任天堂株式会社)
こちらは任天堂株式会社の営業活動によるキャッシュフローです。算出の仕方は少し複雑なのですが、間接法という方法が用いられています。
間接法では、当期純利益から実際のキャッシュの流れに合わせて足したり引いたりを繰り返し最終的なキャッシュフローを算出します。
詳細に分析するのであれば、各項目を細かく見ていく必要がありますが、今回は営業キャッシュフローがプラスであれば本業のビジネスから利益をきちんと上げられている、ということを覚えておいてください。
任天堂の営業キャッシュフローを見ると1700億円のプラスですから十二分に利益を上げられていることが分かりますね。さすがは日本を代表する一流企業だと言えるでしょう。
投資活動によるキャッシュフロー
(出典:任天堂株式会社)
続いてこちらが投資活動によるキャッシュフローです。設備投資による資金の出入りを確認することができます。
こちらは2018年の有価証券報告書の数字ですが、定期預金に3800億円ほど入れていることが分かりますね。同時に定期預金からの払戻が3400億円ほどありますのでキャッシュフローとしては約400億円を定期預金に入れた形です。
有価証券の取得と売却も5000億円規模で行っています。全体として投資活動によるキャッシュフローは450億円のプラスになっていることが分かります。
財務活動によるキャッシュフロー
(出典:任天堂株式会社)
最後は財務活動によるキャッシュフローです。こちらは主に資金調達関連のお金の流れが分かります。
まず配当金の支払いですね。これは任天堂が株主に配当金を合計779億円支払ったことを示しています。さらに、自己株式の取得も310億円程行っていますね。
自己株式の取得は、1株当たりの株式価値を高める効果があり株主還元政策として実施されることが多いです。2018年の任天堂は株主還元に積極的だったことが分かりますね。
一般的な会社であればこの財務活動によるキャッシュフローのところに借入金の増減が記載されることが多いですが、任天堂は借り入れを行っておらず記載されていません。さらに、貸借対照表を確認すると無借金である事が分かります。
ニンテンドースイッチなど数多くのヒット商品を多く産みだしている任天堂は、商品が素晴らしいのはもちろんですが無借金であり経営状態も素晴らしいのです。
キャッシュフローで分かる安全企業の見分け方
キャッシュフロー計算書について学んだところで、その分析の仕方についても解説していきます。
キャッシュフロー計算書は3つ合わせて分析することで企業の経営状態を分類することができます。その分類をまとめると次の表になります。
A社 | B社 | C社 | D社 | |
営業キャッシュフロー | + | + | + | ー |
投資キャッシュフロー | ー | ー | + | + |
財務キャッシュフロー | ー | + | ー | ー |
A社 | 本業の収支はプラスで順調、設備投資も本業の収益内で行っており安全に投資している、余剰資金で借入金の返済も行っており理想の状態 |
B社 | 本業の収支はプラスだがそれ以上の金額を積極的に投資している、不足分は借入金によって賄っており強気で積極的に投資している状態 |
C社 | 本業の収支はプラスだがそれほど余裕がある訳ではない、不要な資産を売却することで投資キャッシュフローを確保し借入金を返済している状態 |
D社 | 本業の収支がマイナスとなっている、資産を売却することで何とか借入金の返済を行っている危険な状態 |
表の通り、A社>B社>C社>D社の順に安全度が下がっていることが分かります。このように3つのキャッシュフロー計算書を合わせて分析することで企業の倒産リスクを判断することができるのです。
黒字か赤字かというだけではなくキャッシュフロー計算書も見ることができれば企業の分析力は大幅にアップします。
キャッシュフロー計算書を分析して、ぜひ一歩進んだ株式投資を実践してみて下さい。
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