ハワード・マークスはオークツリー・キャピタル・マネジメントの会長兼共同創業者です。
オークツリーはロサンゼルスを拠点とし、8兆円以上を資産運用しています。
マークスは40年以上の経歴の中で、様々な金融危機を経験してきました。1987年のブラックマンデー、1998年の新興市場危機、2008年のリーマンショック。
そのいずれも類稀なる投資術で乗り越えてきたのです。今回はそんな鉄壁を誇るハワード・マークスの13の投資哲学を解説します。
ヘッジファンドで活躍するファンドマネージャーについては別記事でも解説していますので良ければそちらも合わせてご覧ください。
関連記事
『世界の著名ヘッジファンドマネージャーに学ぶ!資産運用で成功する7つの習慣とは』
『輝かしい実績!世界と日本の著名ヘッジファンドマネージャー5名に迫る』
「本質的価値」がすべての根幹
投資を成功させる上で最も重要視すべき土台は「本質的価値」です。
投資家は今自分が買おうとしている資産にどれだけの「本質的価値」があるか。これをしっかりと把握しなければならないのです。
本質的価値を構成する要素は多岐にわたり、それらを評価する方法も数多くあります。
本質的価値の具体例はこちらです。
- 帳簿上の現金
- 有形資産の価値
- 企業の持つ現金を生み出す能力
- 上記の要素が増大する余地
「本質的価値」の見極めには卓越した洞察力が必要
「本質的価値」を見極めることですばらしい投資成績を残すことができます。ただし、そのためには卓越した洞察力が必須です。
- ほかの投資家が気付いていないことを学ぶ
- ほかの投資家とは違うところに目を向ける
- ほかの投資家より高い分析力を発揮する
この3つを行うことが理想です。漫然と一般の投資家と同じような行動をしていは栄光はつかめないのです。
「本質的価値」に関する見解はぶれてはならない
「本質的価値」に関する見解は事実と分析に基づいた確固たるものでなければいけません。容易にぶれてはならないのです。
確固たる見解があって初めていつ売買すべきかという判断が出来ます。
株価は何かしらの要因で上昇や下降に転じます。その中で自分の判断に自信を持って資産を保有し続けたり売却の判断を行わなければなりません。
それには「本質的価値」を正しく推計し、ゆるぎない自信を持つことが必要なのです。
投資を成功させるカギは「本質的価値」と「価格」の関係
資産には「本質的価値」と「価格」という2つの値段があります。
投資を成功させる上で非常に大切なことはこれら2つの関係性を把握することです。
「本質的価値」よりも安い「価格」で買うことで投資の成功率はぐーんと高まります。
一方で、「本質的価値」よりも高い「価格」で買ってしまったなら危険な行為に手を染めていると言えるでしょう。
投資家の使命は「お買い得品」を見つけることである
資産が「本質的価値」よりも安い「価格」で売られることがあるのはなぜでしょうか。それは市場に過小評価されているからです。
「本質的価値」よりも安い「価格」で売られているタイミングが絶好のチャンスです。
そういった資産を見つけたら投資家はすぐに買うべきです。ただし、割安な資産に気付くためには鋭い洞察力が必要です。
資産の質の高さに気付くことは比較的容易ですが、高い値段で買ってしまっては意味がありません。
あくまで「本質的価値」にくらべて安い「価格」で売っている資産、すなわち「お買い得品」を見つけることが投資家の使命なのです。
割安で買う行為はリスクも限定する
「本質的価値」よりも安い「価格」で資産を買うことは、収益性も高めることはもちろんリスクも限定します。
これから成長しそうな銘柄を見込んで資産を買ったり、人気が過熱気味の流行っている商品に投資したりするとリスクは限定できません。
大損してしまう可能性もあるのです。
短期的には心理的要因・テクニカル要因にも影響される
「本質的価値」と「価格」の関係は短期的に見ると心理的要因やテクニカル要因にも大きく影響されます。
これは時としてファンダメンタルズよりも強い影響力を持つのです。
そのため短期的に価格が大きく動き、大きな利益をもたらしたり、大きな損失が出ることがあります。
こういった事態に対処するために必要なことは、やはり「本質的価値」を正しく把握することなのです。
一般の投資家は思いこむ生き物
景気サイクルと市場サイクルはつねに上昇や下降を繰り返していきます。
上昇している局面であっても、下降している局面であっても、一般の投資家はその傾向が永遠に続くと思い込んでしまう生き物です。
こうした思い込みがバリュエーションを行き過ぎた水準まで動かし、バブルやパニックを引き起こすのです。
思い込みによる価格変動はしばしば起こるものであり、大きなリスク要因となっています。
賢明な投資は最初にやる
上昇相場であれ下降相場であれ、市場のトレンドはいきすぎる傾向があります。
早い段階でそれに気づいた投資家は得をしますが、遅い段階で参加した投資家は痛い目を見ます。
「賢明な人が最初にやること、それは愚か者が最後にやることだ」
成功しているほとんどの投資家はこの重要な資質を備えています。
ほかの一般投資家とは逆の行動をする
上昇している相場が下落するタイミングや下落している相場が上昇し始めるタイミングを正確につかむのは不可能です。
ただし、今後どちらに向かっていくかは正確にわからなくても今現在どこにいるかは分かるはずです。
まわりの投資家の行動から、今市場サイクルのどこにいるかを推察すればよいからです。
ほかの一般投資家が強気でせめている時は慎重な姿勢を忘れずに、ほかの一般投資家がパニックに陥っている時には積極的に行動すべきなのです。
異なった反応をする資産に分散しなければ意味がない
大多数の一般投資家は非常に単純な考えを持っていてリターンにのみ目を向けています。
多少のすぐれた洞察力を持つ投資はリターンと同じくらいリスクについても注目することが重要だと気付きます。
それでもほとんどの投資家はリスクの軽減のために数多くの種類の資産を保有することが重要だと考えています。
残念ながら資産の種類を闇雲に増やすだけでは意味がありません。
本当の意味でリスクを下げるためには、ある一つの事象に対して異なった反応をする資産でポートフォリオを構成しなければならないのです。
この事実に気付いている投資家はまれであり、明確な差となっています。
アグレッシブな投資よりディフェンシブな投資
アグレッシブな投資はとくに相場が良い時期に非常に高いパフォーマンスをあげられるため一見いい投資に見えます。
しかし、同時に確実にリターンを生み出す可能性は小さく、失敗する可能性も大きくあります。
一方で、ディフェンシブな投資は損失を出す確率が少なく、損失額も小さくて済みます。損失面で優秀なパフォーマンスを発揮することが卓越した運用成績を生み出す秘訣なのです。
「損失を回避することが自ずと全体の収益率を高める」
ハワード・マークスの投資会社オークツリー・キャピタル・マネジメントのモットーです。この投資哲学により過去何年にもわたってオークツリーは確かな運用実績を残しています。
どんな相場でも生き残る
ディフェンシブな投資で不可欠な要素はリスクコントロールです。
ディフェンシブ投資で大切なことは、正しいことを行おうとするだけではなく、まちがったことを行わないようにすることです。
相場が良い時期に最大リターンをとることと、相場が悪い時期に確実に生き残ることは両立しません。
投資家はこの二つのバランスをどうしていくか、つねに考えなければなりません。
ディフェンシブ投資家は、どんな相場でも生き残ることを重視します。
今回はハワード・マークスの投資哲学を紹介しました。投資の本場、米国で活躍する一流ヘッジファンドマネージャーの投資哲学からは多くを学ぶことができますね。皆さんの資産運用ライフにぜひ役立ててみて下さい。
他にも投資方法の関連記事はありますので良ければそちらもチェックしてみて下さい。
関連記事
『まとまったお金の預け先はどこがベスト?初心者が資産運用で成功する方法』
『海外駐在・赴任者の資産運用はヘッジファンドがおすすめ!3つのメリットとは』